米メディア界 2009年の課題


「景気後退は長引くのか」「広告市場の冷え込みはいつまで続くのか」 景気が一段と悪化するとみられる新年に向け米メディア界から懸念の声が噴出している。そんな中、米業界誌テレビジョン・ウィークはこのほど、「困難が予想される新年にチャレンジする際に、メディア業界が対応しなければならない30の課題」と題した特集記事を掲載した。

まず、ネットワークテレビの課題については、「各企業が経営引き締めのため来年の広告予算を減らしていくことは確実な情勢だ」とした上で、「廉価な番組予算での制作態勢を考えなければならない」と指摘している。相変わらず全体の視聴率動向は下降線をたどったままだが、その一方で、新鮮な番組を求める視聴者の傾向はますます高っていることを挙げ、再放送番組を一掃する編成案の必要性を強調している。NBCが昨年12月中旬発表したトーク番組のプライムタイム編成やCBSがカナダ製の番組を購入し始めたことなどを例に挙げながら、「ネットワーク経営陣には斬新なアイディアが求められている」と、呼びかけている。

また、ニュース専門局に関しては特にCNNに焦点を当て、「MSNBCが若い女性キャスター(レイチャル・マドー)を起用しスタートさせたトーク番組が好調だが、CNNにとって、視聴率低下傾向が顕著になっている看板番組「ラリー・キング・ライブ」の処遇が課題だ」としている。またニュース専門局トップの座を守り続けているFoxニュース・チャンネル(FNC)の看板番組「ザ・オライリー・ファクター」がオバマ新大統領誕生後も保守派視聴者からの支持を集めていくだろうとし、CNNとFNCとの視聴者争奪戦がますます激しくなることを予想している。

一方、テレビ番組の再送信サービスが生命線のケーブルテレビ(CATV)事業者や衛星放送事業者を取り上げ、「様々なテレビ番組がインターネット上で手軽に見られるようになってきた今、加入者の間で高額な加入料金に対する不満が高まっている。加入者の間でこれらのサービスから離反する動きが加速すれば、歯止めがかからなくなる事態に発展する恐れもある」と警笛を鳴らしている。CATVや衛星事業者にとって、加入料金の値下げが当面の課題になることを強調している。