米メディア界に大量解雇の荒波


リセッション下にある米国の労働市場が急激に悪化しているが、メディア業界や通信業界にも大きな影を落としている。米最大の通信会社AT&Tが12月8日付けで従業員12000人の削減を発表すれば、飛ぶ鳥を落とす勢いだったグーグルが非正規社員10000人の解雇を発表するなど、大量解雇が相次いでいる。

テレビ業界では、バイアコムが傘下のケーブル局MTVネットワークを中心に850人規模のリストラを決定。NBCユニバーサルでは500人の人員削減を発表、傘下の報道部門NBCニュースでは30人のスタッフが解雇された。ウォルト・ディズニー傘下の報道部門ABCニュースも来年、35人の従業員を削減する。CBSではスポーツ部門の人員30人がカットされるなど、3大ネットワークすべてに大量の失業者が出ることになる。

一方、ロサンゼルス・タイムズなどの有力紙や放送局を傘下におくメディア大手トリビューンが破綻手続きを始めたばかりだが、AP通信が来年400人、全国紙USAトゥデー紙などを傘下におくガネット社が従業員2000人の解雇に踏み切るなど、11月後半から12月に入ってリストラを決定したメディア企業数は20社に上る勢いだ。

こんな中、首都ワシントンのローカルテレビ局WUSA-TVが12日、報道部門の合理化策を発表した。これまでは、レポーターやカメラ・クルーが数名体制で取材にあたっていたが、今後はレポーター以外にカメラマンが一人で取材にあたることになった。その上、カメラマンは編集も担当することになるという。ワシントンでは初めてのケース。すでに他局も同様な態勢を視野に検討を始めている模様で、米メディア界ではリストラと平行し、生き残りをかけた様々な合理化案を検討して行くことになりそうだ。