米ローカル局、選挙と自動車CMで売上増へ


米国では11月2日に中間選挙が実施されるが、ローカル局が得る選挙CMによる広告収入が前回中間選挙(2006年)に比べ25%増となる25億㌦にも達する見込みだ。米有力調査会社SNLケーガンのアナリスト、トニー・レノアール氏は、「今年は連邦議会や知事選挙をめぐる与野党間の激しい戦いが展開している。さらに、米最高裁が今年はじめ、企業による自由な選挙資金拠出を認める判決を下したことも影響し、ローカル局に(政治広告という)宝の山を与えることになる」と説明している。


特に、激戦区をかかえる16の州に直営テレビ局やラジオ局を抱えるCBSコーポレーションやユニビジョン(スペイン語ネットワーク)、さらにはシンクレア・ブロードキャスト・グループが恩恵をこうむることになりそうだ。シンクレアが傘下に抱えるローカル局の視聴可能世帯数は1110万に上るという。


一方、TVB(テレビ広告局)はこのほど、ローカル局の今年4-6月期における広告売上高は前年同月比約30%増となる34億㌦(約2890億円)に達したことを明らかにした。ローカル局にとって最大の広告主である自動車メーカーが、前年同期比82.5%増の広告を支出したことが大きく寄与した。


第2の業種である「通信」も同15.4%増。これに第3位につけた「レストラン」15.8%増、第4位「自動車・トラック販売店」25.8%、第5位「旅行代理店・ホテル」10.9%と軒並み前年同期を大きく上回っている。今年のローカル局の業績は、「選挙と自動車」のおかげで極めて良好に推移することになりそうだ。


SNLケーガンが今年5月に発表した推計によれば、2010年のローカル局の広告売上は昨年比14%増となる193億㌦(約1兆6405億円)に達するとの見通しを示しているが、同社では上方修正される可能性があることを示唆している。特にケーブルテレビ事業者や衛星放送事業者から得る再送信料金の値上げ交渉が活発に行われており、同副収入のおかげで売上全体も昨年比15%増の209億㌦(約1兆7765億円)に達する見込みだ。