米ローカル局が共同取材組織設立


FoxネットワークとNBCネットワークの直営局が報道番組のためのプール(代表取材)組織の創設を発表した。新組織に参加するのはペンシルベニア州フィラデルフィア市のWTXFテレビ(Fox系)とWCAUテレビ(NBC系列)。米国のローカル局は特に自動車や金融関連のスポンサーが不振で、広告収入が圧迫、経営不振に襲われているが、新組織は報道番組制作費のコスト削減が目的。

新組織「ローカル・ニュース・サービス(LNS)」(仮称)には両局からカメラマンやディレクターなど20~25人のスタッフが出向する予定。取材用のヘリコプターや中継トラックなども供出し合うという。地域の突発事件や事故、さらにはイベントなどの取材に当たるが、映像や情報は両局に同時に配信され合理化を図る。映像は両局以外のテレビ局やラジオ、さらには独立系インターネット・サイトなどにも有料配信され、新たな収入源としても活用したい考えだ。

Foxネットワーク傘下の直営局グループ部門の最高経営責任者(CEO)を務めるジャック・アナネシー氏は業界誌「メディアウィーク」に、「LNSの活用で浮く予算を、検証番組や独自取材などに振り向け、NBCなどライバル局との競争を勝ち抜いていきたい」と豊富を語っている。また、NBC直営局部門のジョン・ウォーレス社長も、「LNSの取材を通して地域の出来事がもれなくカバーできるうえ、余力を独自取材などに振る向けることができる」と異口同音に新プール組織のメリットを強調している。

両社は来年1月以降、フィラデルフィアを皮切りに、同様な取材態勢を、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、ダラス、さらには首都ワシントンなど、両社が直営局を保有する地域に拡大したい考えだ。なお、両社はテレビ番組などの動画配信サイト「Hulu(フールー)」でも共同出資をし、事業提携している。