米出版大手が大型リストラ

ファッション誌「ヴォーグ」や男性誌「GQ」、さらにはハイテク専門誌「Wired」など、高級志向の雑誌の出版で知られる米出版大手「コンデ・ナスト」が大型リストラを発表した。広告不況のあおりを受けたもので、同社が発行する「Gourmet」をはじめ、「Cookie」、「Modern Bride」、「Elegant Bridge」、計4誌の廃刊を決めたほか、180人の従業員の一時解雇を発表、米メディアが一斉に取り上げた。コンデ・ナストでは生き残りをかけ、経営全体の見直しに着手していたが、同社が委託したコンサルティング会社「マッキンゼー」が提唱した20~25%の経費削減策に応じたもの。


コンデ・ナスト社の最高経営責任者、チャック・タウンセンド氏は、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューの中で、「現在の経済状況の下で、どの雑誌が会社の足かせになるのか吟味してきたが、残念ながら4誌が合格ラインをクリアできなかった」と、説明している。


コンデ・ナスト傘下の雑誌は、高級スポンサーによる広告掲載で知られるが、同社傘下で最も収益の高い3誌とされていた「ヴォーグ」「グラマー」「バニティー・フェア」の2008年第4四半期の売上は、前年同期比18%の落ち込みを示し始めていた。業界内からは「とうとうコンデ・ナストの雑誌にも不況の波が押し寄せた」と、ため息がもれている。同社の今年の広告収入減収額は10億㌦(約900億円)にも上る模様だ。

米雑誌業界では、永遠のベストセラーなどと称された「リーダーズ・ダイジェスト」を発行する親会社が昨年8月に破綻したほか、経済誌「ビジネス・ウィーク」が売りに出されるなど、不振が続いている。ロイター通信などによると、米メディア企業大手タイム・ワーナーが傘下の「タイム」の売却を検討しているほか、ニューズウィーク誌も人員の大幅削減を検討している模様だ。