米副大統領夫人出演番組に批判集中

リン・チェイニー米副大統領夫人が出演した米CBSネットワークの日曜朝の報道番組「サンデー・モーニング」(10月7日)をめぐって米報道界が揺れている。副大統領夫人とのインタビューは同ネットワークのリタ・ブレイバー記者が担当したが、同記者の夫、ロバート・バーネット氏がチェイニー夫人の自叙伝「Blue Skies, No fences」出版の代理人を務める弁護士であることから議論が沸騰した。

番組の内容はもっぱら自叙伝の内容に関するもの。テレビでは初公開(CBS)となる副大統領の公邸も紹介されたが、番組放送後、様々なメディアのウェブサイトに同番組を批判するコメントが一斉に掲載された。ほとんどの論評が、「ブレイバー記者にインタビューを担当させたCBSの決定は、放送倫理の観点からも間違った判断だった」というものだった。CBS内部にも批判的な意見が出ている模様だが、アイオワ州の州都デモインの地元紙「デモイン・レジスター」の調査部門担当編集長、リー・ロッド氏は、「チェイニー夫人自叙伝の出版と販売を促進する立場にある夫を、自分の番組を使ってPRするようなもの。愕然とした」と痛烈な批判を加えている。

CBSの放送倫理担当上級副社長リンダ・メイソン氏は、「同記者は、自分の夫とチェイニー夫人との関係を事前にネットワーク側に通知していたので問題ない。このインタビューにはブレイバー記者が最適任者だったと今も考えている」と社の見解を述べている。また、ブレイバー記者は「夫と出版社との契約金は出版前に設定済み。放送後の売れ行きに左右されるものではない」と弁明しているが、「事前に知らせてあったと言われても、疑問を抱かざるを得ない」(ニューヨークタイムズ紙)などと、批判の声は静まりそうにない。