米大手CATVが見逃し視聴サービス

 全米第2位のケーブルテレビ(CATV)事業者、タイムワーナー・ケーブル(TWC)が録画機無しでも好きな番組を好きな時間に視聴できる新サービスをスタートさせた。TWCの加入者は、“振り返る”を意味する「Look Back」と名づけられた新サービスを使えば、見逃した番組を放送後3日間に限って自由に視聴することが出来る。低価格でオンデマンド視聴ができるインターネット配信サービス「Hulu(フールー)」や「Netflix(ネットフリックス)」に加入者が鞍替えすることを未然に防ぐことが狙い。通信会社ベライゾンやAT&TがスタートさせているIPテレビサービスに対抗する手段でもある。


ルック・バックが利用できる番組は、ABCネットワーク、NBCネットワーク系列局をはじめとする地上波テレビ局、さらには、ディスカバリー・チャンネルやフード・ネットワークなど人気ケーブル局を含む24チャンネル。TWCはサーバーの容量を拡大し、チャンネル数を増やす計画だ。但し、番組供給サイドからの要求で番組に挿入されたCMは飛ばし視聴できない。


利用者はTWCサーバーに蓄積された番組にアクセスするため、視聴率測定会社ニールセンにとって、番組視聴率やCM視聴率などに関する正確なデータ収集が容易。番組提供者ばかりか広告主にとってもメリットがあるサービスだという。TWCは、利用者にとってもHDD内臓型のデジタル録画機(DVR)などの留守録設定する手間が省ける利便性がある、としている。


米国ではCATVやディレクTVなど衛星放送事業者が提供する再送信サービスを介してテレビを見る人が全体の9割にも達しているが、加入料は上昇カーブを描いたまま。相変わらず困難な経済状況に財布の紐が固くなっている消費者の間で同サービスをキャンセルする動きが加速していて、業界では「コード・カッティング」(ケーブルを切る)という言葉が代名詞になっているほどだ。米調査会社SNLケーガンによれば、今年4~6月期に再送信サービスを解約した世帯は21万6000軒に上ったほか、7~9月期も11万9000軒が離反。2四半期連続で加入者が減少するのは異例のことだという。TWCの新サービスはこうした動きを食い止める予防措置の一つといえる。