米完全デジタル化期限が6月12日に延期


米国で2月17日に予定されていた完全デジタル化期限を約4ヶ月延期する法案が4日、連邦下院議会で可決された。新期限は6月12日に制定された。上院でも先週、可決されており、法案はオバマ大統領の署名を得るため、ただちにホワイトハウスに送られた。屋外アンテナなどに接続したアナログ受像機でテレビ視聴している世帯にデジタル放送視聴に必要となるチューナー(変換器)が行き届いておらず、このままではスムーズな完全移行は実現できないと判断した。

延期法案は、「準備の整っていない世帯が多すぎる。2月17日の完全デジタル化は時期尚早だ」とするオバマ政権の訴えを受け、与党民主党議員が提出したが、「この段になって延期すればかえって混乱が生じる。放送局が返上するアナログ停を使った緊急無線連絡網の構築にも遅れが出る」などとする野党共和党の抵抗に合い、上下両院でやり直し採決が繰り返されていた。共和党議員からは、期限は守りながら、クーポンの早期発給を可能にする資金源に焦点を当てた法案を準備する動きも出た。最終的には議会多数派の与党民主党が押し切った。

チューナー購入を支援する政府のクーポン・プログラムの予算は今月初旬に底をつき、同プログラムを管轄する電気通信情報局(NTIA)によれば、クーポン受給待ちの世帯が2月3日現在約270万軒あるほか、ニールセン社は、全米テレビ世帯の5.7%がデジタル放送受信不可能な状態(1月18日時点)であることを指摘していた。消費者団体コンシューマー・ユニオンなどが、低所得者層や高齢者、さらには英語を母国語としないマイノリティー・グループなどが取り残されてしまうことを懸念、オバマ政権に対し、政権発足前から延期を訴えていた。