米完全デジタル化第1弾 大混乱なし


米国では2月17日、全米421のテレビ局がアナログ波を停止、デジタル放送に移行した。当日、米連邦通信委員会(FCC)が設置したコールセンターには、27,764件、翌日18日には25,320件の問い合わせがあった。苦情の中で最も多かったのが、受信トラブルに関するもの。アンテナの性能に関する問題もあったようだが、デジタル移行で狭まったテレビ局の送信範囲からもれてしまった世帯もあったようだ。こうしたクレームは17日当日に全体の26%、18日には三割近くに上った。
それでも大混乱には至らなかったことを受けFCCは、「勇気付けられるものだった」と述べ、安堵感を示している。ただ、今回完全デジタル化に移行した局が、小都市などに集中していることから、「大きなチャレンジが残されている」と、新期限(6月12日)に向け手綱を引き締めている。一方、全米放送事業者協会(NAB)の調べでは、各テレビ局に寄せられた電話件数は1局当たり50~200件(17日)だった。NABは「移行が概ね良好にすすんだ」としている。

テレビ朝日アメリカの調べでは、バーモント州バーリングトン市の公共放送局には、18日午後までに300件の問い合わせが寄せられた。質問の中で最も多かったのが、コンバーターの設定方法だった。同市付近が起伏に富んだ地形に囲まれているため、受信トラブルも報告された。また、テキサス州のウェイコー市にあるABC系列局KXXVテレビに寄せられた問い合わせの9割がコンバーターの設定方法に関するものだったという。FCCではこの点に注目、今後、ホームページを通しコンバーター取り扱いの習熟を呼びかることにした。6月12日には大都会のテレビ局を含む全米1000以上のテレビ局でデジタル放送への移行が実施される。