米巨大メディアのオーナー親子の確執が露呈

世界的なメディア・娯楽企業「バイアコム」のオーナー親子の確執をめぐって米メディア界がその成り行きに注目している。ワンマン経営者としても知られるサムナー・レッドストン氏(85)は、バイアコム社と、2006年に同社から分社化されたCBSコーポレーションの支配株主。娘のシェリー・レッドストン氏(54)が後継者として目されているが、サムナーさんはこのほど経済専門チャンネルCNBCとのインタビューの中で、番組司会者の「あなたの後継者はシェリーさんか」の問いに、「NO」と明言したことからちょっとした騒動となっている。

サムナー氏は、「娘の経営能力を疑っているわけではない。ただ、ナショナル・アミューズ社とは違って、両社(バイアコム・CBS)とも上場企業だ。私の後継者は株主が決めるべきだろう。娘とはすでに合意している」と説明。ナショナル・アミューズ社は全米に映画館を展開する娯楽企業。シェリーさんが社長を務めている。この発言に対し、シェリーさんが噛み付いた。「そんな合意などしていない」と真っ向から否定。父親の発言に強い不快感を示している。サムナー氏が言う父娘間の「合意」については、シェリーさんが保有するバイアコムとCBSの株をサムナー氏が買い上げる代わりに、自らが保有するナショナル社の株をシェリーさんに譲渡する(NYタイムズ紙)というもの。シェリーさんとバイアコム・CBSの関係を断ち切るという案だ。

バイアコム社は傘下にパラマウント映画や若者向けチャンネル「MTV」、子供向けチャンネル「ニッケルオディオン」など数多くのケーブルテレビ局を保有する巨大企業。CBSコーポレーションは、CBSネットワークやラジオ局などを傘下に置くメディア大手。米経済専門誌「フォーブス」によれば、両社の企業価値は410億㌦(約4兆3,050億円)。両氏の個人資産はサムナー氏が68億㌦(約7,140億円)、シェリーさんが16億㌦(約1,680億円)。