米市民はニュースに無関心?

米国では過去20年にわたりCNNテレビをはじめFoxニュースチャンネル(FNC)など、ニュース専門局が次々と創設され市民にとってニュースを知る機会が格段に増えている。しかし、情報源が増えても、市民が正しい情報を取得することにはつながっていないことが明らかになった。

米有力調査会社「ピュー・リサーチ・センター」によると、例えば20年前、当時の副大統領、ダン・クエール氏の名前を正しく言える人は全体の74%だったが、現在の副大統領、ディック・チェイニー氏の名前を言える人は69%。また、自分が在住する州の知事の名前をはっきり言える人は、20年前は74%だったが、現在は66%。さらに、ロシアの大統領の名前を言える人は、20年前(当時はソ連)は47%いたが、現在では36%に留まっていることが明らかになった。さらに米国が20年前当時、貿易赤字を抱えていたことを認知していた人は81%いたが、現在の赤字を認知している人は68%ほどに減っているという。

ところで、同調査では“時事を正しく把握している人”に情報源を聞いたところ、いわゆるフェイク・ニュース番組と言われる「ザ・デイリー・ショー」(コメディー・セントラル)と「ザ・コルバート・リポート」(同)を挙げた人が非常に多かったことが分かった。両番組はコメディアンがその日のニュースを面白おかしく風刺するエンターテイメント番組。報道番組ではないが、特に若者世代に圧倒的な人気と支持を得ている。

ちなみに、ザ・デイリー・ショーの司会者、ジョン・スチュアート氏(写真)は、ネットワークの著名キャスターなどとならび、米報道界に最も影響力を持つ人トップ10(TV Week誌)に選ばれている。