米広告主、新シーズンCM買いに慎重


9月から始まる米テレビ新シーズンにおける番組編成の発表とCMの予約販売がされる「アップフロント」交渉が始まっているが、不況経済を反映してCM販売交渉が難航している模様だ。交渉期間は通常は1~2ヶ月で終了するが、今年は長期化するという見方も出ている。アップフロントではプライムタイム(午後8~11時)で放送される番組のCMが販売されるが、通常はその70~80%が取引される。


地上波5ネットワーク(ABC、CBS、NBC、Fox、CW)を対象にした昨年度のアップフロントでは約90億㌦(約8550億円)相当のCMが販売されたとされているが、今年は5~8%ほど減少するとの見通しが主流のようだ。アップフロント市場の分析で知られる米証券会社大手メリルリンチ(バンク・オブ・アメリカ傘下)のアナリスト、ジェシカ・コーエン氏は、このほどウォール街で開かれたメディア関連の会合で、減少幅を13%と予測している。

一方、業界誌「メディアウィーク」は、「テレビ向けCM予算は、懸念されるほど大幅な削減はされないだろう」との見方を示している。アップフロントでの取引額が昨年を大幅に下回るとすれば、それは様子見をきめこんだ広告主が、シーズン直前や冒頭で行われる「スキャター」と呼ばれる交渉まで予算を保留した場合。あるメディア・バイヤーは同誌に、「ネットワークが柔軟な価格を示さなければ、スキャターまで待つつもりだ。アメリカン・アイドル(米人気ナンバーワン番組)でさえ、必ずしもアップフロント中にCM枠を確保する必要はないというのが広告主の共通の認識だ」と述べている。 ただ、アップフロントとスキャターを合わせれば、最終的に新シーズンのCM 販売総額は昨年度比一桁台前半の減少に留まるという。