米広告主がテレビCM効果に懐疑的


米国でテレビCMの効果に疑問符を投げかける広告主が増大している。全米広告主協 会(ANA)と米調査会社フォレスターはこのほど、大手広告主104社(広告支出額合計140億㌦)を対象に共同調査を実施したが、「過去2年間にテレビ CMの影響力に陰りが見えてきた」と考える広告主が全体の62%に上った。また、同調査によると、「CM枠に挿入されるCMの数が多すぎる」と考える広告 主は69%にも上った。これらの理由から、2009年度にテレビCMに充てられた広告費は全体の49%と、08年の58%を大きく下回っていたことも判明 した。


同調査によれば、今年のテレビCMに割り当てられる広告費は41%に留まる一方で、77%の広告主がテレビ向けの広告費を、「ソーシャル・メデアィ」に振 り替えるつもりだと答えていることも明らかになった。73%がインターネット広告に投入すると答えたほか、59%が検索エンジン・サイトに、46%が電子 メール市場に振り分けると答えたのに対し、新聞・ラジオ・雑誌や屋外広告などの既存メディアに割り当てると答えた広告主は15%に留まった。


また、広告主の大半が、現行の視聴率測定から挙がってくるCM視聴状況データに不満足の意を表しており、82%が、「独立したCM視聴率が必要」と考えていることも分かった。
さらに、「特定のターゲットに絞ったCMが必要だ」とする広告主は78%に上った。


ANAの会長兼最高経営責任者(CEO)、ボブ・ライオダイス氏は報告書の中で、「メディアには大きな地殻変動が生じており代表格のテレビにも例外ではな い」と述べ、「現在の広告方法や視聴率測定方法は、こうした状況を踏まえ、より詳細で、より特定された、しかもより効果のあるものに変わる必要がある」と 指摘している。ちなみに、30秒CM が引き続き主流となる考え方が支配的だが、番組内に自然な形で商品やサービスなどを登場される「プロダクト・プレースメント」など、いわゆる「ブランド・ エンターテイメント」への関心も高くなっていて、広告主の38%が、こうした広告方法を採用する予定だとしている。