米広告市場が猛烈な回復ぶり


 相変わらず景気停滞が続く米国で、広告市場が猛烈な回復ぶり(ハリウッド・リポーター誌)を示している。世界最大の広告主で一般消費財メーカーのプロクター&ギャンブル(P&G)や自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)といった大広告主が、広告支出の増額を鮮明に打ち出しており、すでにローカルテレビ局やネットワークテレビの4~6月期の売上げに好影響を与えている。ちなみに、米有力調査会社「キャンター・メディア(旧TNSメディア・インテリジェンス)」によれば、09年におけるP&Gの広告支出額は27億㌦(2295億円)、第3位のGMは22億㌦(1870億円)だった。 


特にGMの復活ぶりが顕著で、キャンターは、2010年におけるGMの広告費は3~5%増加すると予想している。破綻前のレベルに戻るという。ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、来年のスーパーボウルのスポンサーとしてカムバックすることも決定されている模様だ。GMは、今年2月に開催されたスーパーボウルへのCM出稿ばかりか、同月に開催されたバンクーバ冬季五輪へのCM出稿も見合わせていた。GMが大イベントのスポンサーから撤退したのは極めて異例なことだった。


他自動車メーカーによる広告支出も活発になっており、特にローカル局が先行して恩恵を受けているようだ。10年1-3月期における地方局の自動車関連広告売上げはなんと前年同期比75.9%増の5億8900万㌦(約500億円)を記録した(米テレビ広告局:TVB調べ)。


ところで、米調査会社「SNLケーガン」がこのほど発表した広告市場予測によれば、前年比15.6%も減少した09年の米国総広告費は、今年は昨年比2.8%増と大幅な回復を示すという。来年以降も増加傾向が持続され、17年にはこれまでの最高額2566億㌦(約21兆8110億円)(07年)を超え、19年には2758億㌦(23兆4430億円)に達する見込みだ。


媒体別で見ると、インターネット広告が飛躍的な伸びを示しそうで、2019年には総広告費の21.8%を占める601億㌦(5兆1085億円)に達し、全媒体中トップの座につくという。ネット広告とともにシェアを広げるのがケーブルテレビ局(20%)。他媒体は地上波テレビ局(14.2%)、折り込み広告(11%)などと軒並みシェア低下となるが、新聞(日刊)は二桁を割り込み8.1%にまで落ち込む模様だ。