米広告支出を下方修正


米国経済の減速懸念が広告費に影響を及ぼし始めたことを示す新たな調査結果がでた。米広告代理店傘下の調査会社「ゼニス・オプティメディア」が6月末に発表した最新予測によると、今年の米国の広告支出は昨年比3.4%増に留まる模様。同社が4月に発表した3.7%から下方修正された。同社の下方修正はこれで今年2回目。

同社の代表ブルース・ゴアリック氏は米経済紙ウォールストリート・ジャーナルに、「自動車、金融、住宅などの業界の不振が広告支出の減少につながっていたが、これらに加え、新たに化粧品業界などの不振が追い討ちをかける結果となっている」と語っている。同氏は広告市場の現状を、「パニック状態には陥っていないものの、状態は少しずつ萎んでいく風船のような状態だ」と描写している。

一方、世界の広告市場は、中国とロシアの市場拡大が欧米諸国の減退ぶりを相殺する形で、今年は6.6%の増加を見せるという。3月の予測(6.5%)から若干の上方修正となった。
ところで、2007年から2010年の広告支出傾向を国別で見ると、一番の伸びを見せるのがロシアで拡大幅は92.1%、次いでブラジルの79.6%、中国63.5%、インドの52.2%などと開発途上国の躍進ぶりが目立っている。ちなみに同社は同期間の米国の成長率については9.9%としているが日本については5.7%としており、先進国中最低の数字となっている。

なお、同社が発表した2007年の世界の総広告費支出番付表によれば、米国が1,792億5,100万㌦(約18兆8,214億円)で断トツ。これに日本の410億1,700万㌦(約4兆3,068億円)、ドイツの257億5,800万㌦(約2兆7,046億円)などの順となっている。