米映画・CATV企業がオンデマンド普及対策


米映画会社とケーブルテレビ(CATV)事業者が提携し、オンデマンド・サービスの普及に向け大々的なキャンペーンを展開することになった。CATV加入者の間で広まっている映画のオンデマンド・サービス需要をさらに高めようと、「レンタルビデオ店が(あなたの家に)やってきた」をキャッチフレーズに、総額3000万㌦(約27億円)を投入し、テレビや新聞・雑誌を使った宣伝活動に着手する。


映画のDVD販売市場が飽和状態にあることが背景にあるが、09年におけるオンデマン利用数が前年比20%増と、ニーズが急速に高まっていることも追い風になっている。ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、CATV加入者の09年第4四半期におけるオンデマンド利用数は、前年同期比63%も増加した。


ブロックバスターなどレンタルビデオ店でのDVD売上は、収益の25%が映画会社に割り当てられるが、オンデマンドの場合は65%と(ニューヨーク・タイムズ紙)、映画会社にとってオンデマンド・サービスがより魅力的なビジネスになりつつあることも見逃せない要因だ。ちなみに、レンタル料金はまちまだが、新作映画が4.29㌦(ブロックバスター・ジョージア州)なのに対し、オンデマンド料金は5.99㌦と、オンデマンド料金が若干高目に設定されている模様。


これまで新作のオンデマンド配信には慎重な姿勢を崩さなかった映画会社も、「消費者にとって、映画をレンタルする上で、オンデマンド・サービスは素晴らしい方法だ。適度な価格で、品切れを心配する必要もない。提供される新作映画の量も増えている」(ワーナー・ブラザース・エンタテイメント、ケビン・ツジハラ社長)などと、売り込みに積極的だ。


ただ、レンタルビデオ店における売上が51億㌦規模(09年)(ホーム・メデイア・マガジン)なのに対し、オンデマンドは12億㌦(ホーム・メディア・マガジン)から29億㌦(プライスウォーター・クーパース)に留まっており、映画会社が一気にオンデマンド・サービスにシフトすることは考えにくい。


同オンデマンド普及作戦には、映画会社から、ワーナー・ブラザース・エンタテイメント、20世紀フォックス映画、ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント、ユニバーサル映画、フォーカス・フィーチャーズ、などが、CATVからは、コムキャスト、タイムワーナー・ケーブル、コックス、ケーブルビジョンなど大手が参加している。