米映画にアブダビが10億㌦規模の投資

米ハリウッド映画界にさらなるオイルマネーが投入されることになりそうだ。アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国の政府系メディア会社、アブダビ・メディアが子会社「イメージネーション・アブダビ」を設立、向こう5年間に米映画製作者に対し10億㌦(約1,080億円)以上を投資すると発表した。ニューヨークタイムズ紙によると、子会社の設立は、外国政府から直接資金繰りを受けることに敏感な米製作会社に配慮したもの。

同社ではハリウッド型の映画製作をめざし、英語圏への配信を念頭においているが、一作の予算は1,000万㌦(約10億8,000万円)から5,000万㌦(約54億円)と、中規模の作品とし、年間6~8本を製作したいとしている。ちなみに、ハリウッド映画のヒット作の製作費は1億㌦(約108億円)以上とされている。また、同社ではアラブ諸国の俳優を起用し、アラブ語圏への配信にも意欲を示している。

アブダビ首長国は、エネルギーや不動産、さらには交通業界などに対する積極的な投資活動を通し、世界経済の主役になったことを自負しているが、今度はエンターテイメント業界にも大きな役割を果たしたいと考えているという。米国ではサブプライム住宅ローンの焦げ付きが金融機関などに大きな影響を及ぼしており、映画業界への投資が鈍っているとされているが、米映画界首脳陣の間ではオイルマネーがとってかわると見る向きは少ないという。

アブダビ・メディアは昨年9月、タイムワーナー傘下の映画会社ワーナー・ブラザースと映画やビデオゲームの共同制作費に10億㌦を投資している。