米最高裁、わいせつ映像で高等裁へ差し戻し

米最高裁判所は5月4日、CBSネットワークが以前わいせつとされた映像を放送し、罰金を免れた問題で連邦高等裁判所へ差し戻しを命じる判決を下した。CBSが2004年に生中継したスーパーボウルのハーフタイム・ショーで人気歌手ジャネット・ジャクソンさんの右胸が露出した問題で、米連邦通信委員会(FCC)はこの映像がわいせつ描写にあたるとして、CBSと系列局20社に対し、当時、過去最高となる罰金55万㌦(約5500万円)を課した。


CBS側は、「ハーフショーの制作を請け負ったプロダクション会社と独立した立場のジャネット・ジャクソンさんの行為すべてにCBSが責任を負うことは出来ない」などとし、高等裁判所に訴えた。これを受けて高等裁判所は、「FCCがテレビ局に対し、ヌードシーンなどが瞬間的に露出してしまった場合の規制強化について事前説明が不十分だったこと。ジャクソンさんのパフォーマンスにCBSが直接関与した証拠が見当たらないこと。さらには、露出した時間が16分の9秒と、極めて短時間だったことなどを考慮し、FCCの処置を違法とする判断を下していた。

CBSは最高裁の判定に対し、「同ハプニングは不適切で遺憾なものだった。しかし、未然に防ぐことが出来なかったのも事実で、高等裁判所が再審理の際にこれらの点を十分考慮してくれるものと信じている」とするコメントを発表した。CBSはまた、「放送事業者がいくら注意をはらっても、生番組中に不幸な表現や描写が放送されてしまうことを完全に防ぐことはできない。裁判所の判定には全事業者が注目することになる」と強調している。