米看板報道番組が録画視聴を呼びかけ


 「もし帰宅時間に間に合わなければ番組は録画して見てください」 番組CMの中でそう訴えたのは米NBCネットワークの看板報道番組「NBC Nightly News(ナイトリー・ニューズ)」のメイン・キャスターを務めるブライアン・ウィリアムズ氏。同CMは若者視聴者に人気の同ネットワーク深夜番組「サタデー・ナイト・ライブ」で流されたものだ。ナイトリー・ニューズは米3大ネットワークテレビ(ABC、CBS、NBC)が放送する全国向けの夕方ニュース番組の中で最高視聴率を誇る番組。生番組の主役が、録画視聴を呼びかけたとあって米テレビ界の話題を呼んでいる。


当のウィリアムズ氏はニューヨークタイムズ紙に、「我々が置かれている状況を認める潮時だと思った」と説明しているが、同紙は、「米テレビ業界が敵視してきたデジタル録画機を見方として見直す機運が生まれている証拠だ」と分析している。ウィリアムズ氏によれば、かつては「番組をよく見てますよ」というファンが多かったが、最近は、「毎晩あなたの番組を録画して見てますよ」と声をかける視聴者が増えているという。


米国ではHDD内蔵型デジタル録画機(DVR)の普及率がテレビ世帯全体の少なくとも37%に達している(米ニールセン社)模様で、視聴者の間で、「好きな番組を好きな時間に視聴する」習慣、いわゆるタイムシフト視聴が定着し始めている。ニールセン社によれば、「ナイトリー・ニューズ」の平均視聴者数は毎夜約800万人。DVR視聴者数は37万人ほどだが、そのうち9割近い32万人が深夜午前2時までに番組を視聴しているという。ニールセンは同日視聴として換算している。また、同番組のDVR視聴者の半数近くが25~54歳と、報道番組がターゲットにしている視聴者層であることもNBCにとって勇気づけられるデータだ。「ナイトリー・ニューズ」ではこうしたテレビ視聴習慣の変化を捉えDVR視聴を呼びかけることで、同番組の常客(視聴者)を引き止めるばかりか、新たな視聴者を引き寄せることが出来ると期待を寄せている。