米紙、携帯端末配信に熱い視線

米新聞業界は、読者離れと広告収入の減少で経営的危機に立たされている。各紙は、新たな収入源を求めて新規ビジネスの展開を試みているが、全米最大の発行部数を誇るUSAトゥデーが携帯端末向けの配信サービスを始めることになった。同紙発行人のデイビッド・ハンク氏はこのほどニューヨークで開かれた記者会見で、「苦境を乗り越えて行くための戦略としてハイブリットな解決策に取り組んでいくことになる」と発表した。具体的には携帯端末開発企業「プラスティック・ロジック」社などと提携し、今年8月3日から有料型の電子版USAトゥデーを売り出す予定だ。ニューヨーク・タイムズ紙もアマゾン社が販売している電子書籍を読むための専用携帯端末「キンドル」などに、デジタル版を提供している。


また、ハンク氏は、同紙が携帯端末向けのアプリケーション開発にも取り組んでいることを明らかにした。同氏は、アップル社アイフォンのアプリケーション販売について、「あっという間の普及ぶりに、驚愕するばかりだ」と述べ、同サービスをモデルにしていることを示唆した。
現在、他の新聞社では無料で提供している本紙電子版の有料化を検討する動きが活発化しているが、ハンク氏は、「すべてを有料化できるとは思えない。当社が採用するビジネス・モデルではない気がする」と答え、他紙とは一線を引く構えを示した。

米発行部数監査会(ABC)によれば、今年3月時点におけるUSAトゥデーの週日版の発行部数は2,113,725(昨年同期比7.46%減)と、ウォルストリート・ジャーナル紙の2,082,189(同0.61%増)、ニューヨーク・タイムズ紙の1,039,031(同3.55%減)などを押さえ全米一の発行部数を誇っている。ところで、米新聞協会(NAA)はこのほど、今年1-3月期の新聞社の広告売上高が66億㌦(約6600億円)と昨年同期比30%も落ち込んだことを発表した。