米脚本家が20年ぶりのスト入り


全米脚本家協会(WGA)は11月5日、全米映画テレビ制作者(AMPTP)との契約更改交渉が物別れに終わったことを受けて、ストライキに突入した。10月31日が現行契約期限だったWGAとAMPTPの交渉は、テレビ番組のインターネットや携帯電話向けなどデジタル配信からあがる利益配当の増額をめぐって難航し決裂した模様。「交渉の最終局面で、WGA側がDVD利益配当の大幅増額を求めたため暗礁に乗り上げた」(ウォールストリート・ジャーナル紙)などとする報道もある。

WGAがスト突入したのは1988年以来、ほぼ20年ぶりのこと。同日夜に放送予定だった各局の人気深夜トーク番組は軒並み再放送番組に差し替えられた。ストが長期化すれば、来年早々、ドラマ番組などの放送継続が困難になるとあって米エンタテイメント業界に大きな波紋を投げかけている。前回のストはほぼ5ヶ月続いたが、今回も同規模のものとなればネットワーク側が蒙る損害額は50億㌦(約5,750億円)にも上るものと見られている。

再放送番組の多用を避けたいネットワーク側はすでに予防措置として、脚本家なしで制作が可能な報道番組やリアリティー番組の準備を始めている。ただ、前回のスト時は、例えばNBCがマガジン・タイプの報道番組「デイトライン」を一週間通しで編成するなどして凌いだが、報道番組人気が下火の現在、同じ手法は難しく、ネットワークは慎重な対応を迫られている。

WGAには約12,000人にのぼるテレビや映画の脚本家などが加入しているが、制作サイクルが長期にわたる映画界には当面影響は無い模様。