米脚本家組合のスト終結


テレビ番組や映画のインターネット配信から上がる利益配当の改善などを要求し、昨年11月5日以来ストライキ入りしていた米脚本家組合(WGA)が10日、労使協議の相手である全米映画テレビ製作者(AMPTP)の提案を受け入れ暫定合意案を承認した。交渉にあたったWGAの代表者は組合幹部に対し、「我々は歴史的な勝利を勝ち取った。完璧な内容ではないが、これ以上ストを続けることは逆効果になる」と説明、全会一致で暫定合意が承認されたという。

これを受けて12日、組合員が投票し可決、ストが解除された。 新労使契約は3年間。最大の争点だったインターネット配信に伴う報酬増については、AMPTP側が各脚本家に対し、向こう2年間は年間一律1,200㌦(約13万円)、3年目には収益の一定率を支払うことで合意した模様だ。この比率に関しては2%になる(ニューヨークタイムズ紙)などとする報道もある。

全米で1万人以上のメンバーを抱えるWGAがピケを解除したことで、約3ヶ月ぶりに映画やテレビ番組の制作が正常化に向かうことになる。各ネットワークが毎晩深夜に生放送している人気トーク番組に脚本家が早々職場復帰するほか、WGAを支援する俳優協会がボイコットすることになっていたアカデミー賞授賞式(今月24日)が予定通り開催されることになった。特にアカデミー賞については、従来どおり開催されない場合は、米エンターテイメント業界全体に心理的なダメージを与える可能性があると指摘されていた。同イベントの中継番組は毎年スーパーボウルに次ぐ高視聴率を獲得することでも知られる。

20年ぶりとなったWGAのストライキは、プライムタイム番組制作をもろ直撃。今年に入って、目玉番組が再放送やリアリティー番組などに切り替えられ、米ネットワーク運営に多大な影響を及ぼし始めた矢先だった。また、ハリウッドを抱えるロサンゼルス地区の経済に推定10億㌦(約1,070億円)以上の被害をもたらした(AP通信)などとする分析もある。