米脚本家組合ストが越年の可能性

11月5日にストライキ入りした全米脚本家組合(WGA)と映画・テレビ業界団体を代表する、全米映画テレビ制作者(AMPTP)との間で行われた労使交渉が12月7日、物別れに終わった。

12月4日から始まった交渉は、WGAスト突入以来2回目。交渉は4日間に渡り、一時、両者の主張の溝が埋まりつつあり、今度こそは妥結するのではないかなどとする楽観論も出た。しかし、交渉後、AMPTP側は声明を出し、「WGA側は次々に不当な要求を出し、交渉の進展を妨げてしまった。いったい交渉をまとめる気があるのか」などとWGAを批判すれば、WGA側も、「交渉とは偽り。AMPTPは最後通告をつきつけるばかりで我々の要求に耳を傾けようともしない」などと、応酬し合う有様。次回の交渉日も決まらず、ストが年越しする公算が強くなってきた。

これまでの交渉では最大の焦点はテレビ番組のインターネット配信などから上がる利益配当とされていたが、複数の米メディアによれば、WGA側がリアリティー番組やアニメ番組の脚本家を傘下に入れるよう要求したことなどが決裂の一因になった模様。 WGAには12,000人に上る映画やテレビなどの脚本家が加入しているが、ストは制作プロセスが長期に渡たる映画界よりは短期で行われるテレビ界を直撃する形になっている。

米ネットワークは、このままストが続けば、現在放送されているプライムタイム向けドラマ番組が新年早々品切れ状態になり、再放送やリアリティー番組満載の編成を余儀なくされる。また、毎年5月、ネットワークが広告主に対して行う新シーズン向けの編成発表とCM枠の予約販売「アップフロント」の実施が危ぶまれるほか、新シーズンが9月に始まる現行サイクルの見直し機運が高まるなど、ネットワーク運営の根幹にまで大きな影響を及ぼす可能性も出てきた。