米衛星ラジオ業界で合併劇

米国の衛星ラジオ業界は最大手XMサテライト・ラジオと同2位のシリウス・サテライト・ラジオの2社による複占状態。その2社がこのほど、今年中に合併すると発表した。独占禁止法に抵触する恐れを指摘し、米連邦通信委員会(FCC)など政府当局が合併を認めないとする見方があるが、両社は、インターネット経由で配信されるラジオ・チャンネルの台頭やアイポッドなど携帯音楽プレイヤー用の音楽配信サービスの普及などを理由にあげ、合併の必然性を主張している。

衛星ラジオはデジタル波を使い、クラッシック、ジャズ、ニュースなど200余りの多チャンネルを最小限のCMで提供している。利用者は月額12.95㌦(約1,560円)の加入料を払い、通常は車に設置された専用受信機で、全国どこでもCD並みの音質で視聴できるのが特徴だ。しかし、両社とも番組編成の内容が酷似していることや、インターネットからのダウンロード・プログラムなどに押され気味で赤字経営を強いられており、合併話が持ち上がるのは時間の問題とされていた。

合併後は、余ったチャンネルを天気予報やニュース速報などのデータ放送に運用したり、車内後部座席の専用モニターにダウンロードできる子供向け番組を配信する新規事業展開案も浮上していて、議会などから厳しい審査を受けることも予想される。 現在、加入者はそれぞれXMサテライトが790万件とシリウスが600万件。合併後の新会社の最高経営責任者にはシリウスのメル・カーマジン氏が、会長にはXMのゲーリー・パーソンズ会長が就任する予定。