米議会、デジタル化移行教育を要請


米国ではアナログ放送停止が2009年2月17日に設定されているが、残り2年をきった今も市民の間における地上デジタル放送への認知度が極めて低いのが現状だ。そんな状況を憂慮して有力議員がFCC(米連邦通信委員会)に対し市民のための「デジタル教育」をただちに開始するよう要請した。

下院エネルギー商業委員会と通信小委員会の両委員長はFCCに対し連盟で書簡を送り、「連邦政府によるデジタル化移行への周知努力が決定的に欠如しており、このままでは実現が危うい」と警告。6月11日までに具体案を提示するよう迫っている。両委員長は、特に、デジタル化移行を監視する際のFCCの具体的な役割、すでに予算に組まれているデジタル広報費用150万㌦(約1億8,000万円)の使用用途を明確にするよう求めている。

一方、民間レベルでは、放送事業者、CATV事業者、家電メーカーなどが共同で市民に対するデジタル教育を展開することで合意しているが、「期限直前に展開したほうが有効だ」との考えから2008年後半まで保留する構えだ。これについても、両委員長は「あまりにも遅すぎる」と批判、FCCに対し早期に展開するよう行政指導を促している。

今年初め、全米の公共放送テレビ局が組織するAPTS(全米公共放送テレビ局協会)が、全国に2,200万件あるとされる直接受信世帯を対象に行った調査によると、アナログ波が停止されることを「全く知らない」と答えた世帯が全体の6割を超えたほか、「聞いたことはあるが、よく分からない」の10%を合わせると、7割強にも上った。

ちなみに、米政府は直接受信世帯を優先に、40㌦相当のクーポン券を配布。デジタル放送を既存のアナログ受像機で視聴できるようコンバーター購入の補助にあたる予定。