米金融危機でメディア界にも暗雲


金融危機の影響が米国のメディア業界に様々な形で現れ始めている。株価の急落が消費者心理を冷え込ませているばかりか、企業収益の悪化にもつながっており、広告支出が縮小方向に向かっているためだ。シーズン初めは大統領選挙や五輪効果で、比較的好調との見通しが出ていたテレビ業界の広告収入も大きな打撃を受けそうだ。

米大手投資銀行ゴールドマン・サックスでは、米地上波ネットワークテレビの広告収入は、五輪関連CMを除けば、今年から来年にかけ5%も落ち込むと下方修正をした。2001年以来最悪の記録になるという。打撃を受けるのはネットワークばかりに留まらない。ローカル局も、大統領選挙CMの臨時収入を除けば、広告収入の落ち込みが7%にも達する見込みだ。同社によると、ラジオ局や、屋外広告をはじめ、新聞・雑誌の広告費も軒並み5~10%の減少を見ることになるという。

また、近年15~20%台の成長率を示してきたインターネット広告にも火の粉が降りかかっている。バークレイズ銀行の投資銀行部門、バークレイズ・キャピタルはこのほど米国における今年のインターネット広告費を当初のものから5.3%減となる248億㌦(約2兆4,800億円)と下方修正をした。

ちなみに、米国のオンライン広告業界団体「Interactive Advertisi Bureau (IAB)」によれば、今年上半期のネット広告売上げは昨年同期比15.2%増となる115億㌦(約1兆1,500億円)。前年同期比27%増を示した2007年上半期に続き好調さを保っていたが、さすがのインターネットも金融危機に破竹の勢いを失いつつある。