米金融危機で広告支出が減少へ


金融危機を解消するため、米政府は総額最大7,000億㌦(約75兆円)とも言われる公的資金を投じる金融安定策を議会に提示している。テレビや新聞では「ウォール街の崩壊」などと大きな見出しが躍っているが、米広告界にも大きな影響を及ぼしそうな気配だ。米メディア・アナリストが一斉に今年の広告費下方修正に動き出しており、米経済紙ウォールストリートによれば、今年の広告費は昨年比2%増と微増に終わりそうだ。

今年は、オリンピックが開催されたことや大統領選挙の年に当たることから、広告支出は好調に推移するはずだったが、自動車産業や小売業の不振で苦戦が伝えられていた。そんな中、金融不安がさらに追い討ちをかけることになった。米調査会社TNSメディア・インテリジェンスによれば、金融業会の広告費は分野別で見ると、自動車、小売業に続く第3位の広告主で、広告支出額は約90億㌦(9,450億円)と全体の6%を占めているという。

一方、金融危機は、ビジネス専門局に記録的な視聴率をもたらしている。先週、週明け15日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米証券大手リーマン・ブラザーズの破たんなどで信用不安が強まり、500ドル超安と、2001年の同時テロ以来の下げ幅を記録したが、NBCユニバーサル傘下のケーブル局CNBCの同日夜5~7時の番組平均視聴者数は48万8千人と急上昇した。さらに翌日火曜日夜は52万3千人を獲得、2001年以来の高視聴率を記録した。ニューヨークタイムズ紙によれば、CNBCの通常の平均視聴者数(25~54歳層)は、約12万5千人。