米首都有力紙が国内全支局を閉鎖へ

米首都ワシントンの有力紙「ワシントン・ポスト」が、国内に残された最後の3拠点に置かれた支局の閉鎖に踏み切ることを決定した。同紙の広報によると、閉鎖されるのはニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴにある3支局。年末をもって全米3大都市の拠点を失うことになり、改めて米新聞業界の斜陽ぶりが浮き彫りになったかたちだ。


決定はコスト削減策の一環だが、社内の著名記者は、「著しい削減」と論評している。同紙広報によれば、今後は独自取材の必要性に応じ、本社(ワシントン)から記者を派遣するという。3支局の記者は本社に召還され、残りのスタッフは解雇される模様だ。同紙の編集主幹マーカス・ブラチェリ氏は、社内向けの発表文の中で、「限られた財源と、引き続き厳しい競争にさらされている中で、“首都ワシントンをカバーする”という我々の使命を遂行するために、戦力をワシントンに集中させることにした」と説明した。


同紙は、3大都市に加え、テキサス州オースティン、コロラド州デンバー、さらにはフロリダ州のマイアミにも支局を保有していたが、過去10年以内に次々と閉鎖を余儀なくされていた。6年前には900人以上いた編集スタッフが、いまでは700人以下に縮小しているといる。


米新聞雑誌部数考査機構(ABC)によれば、全米日刊紙379社の発行部数は、今年4-9月の間に10.6%減少した。米新聞協会(NAA)の調べでは、今年7-9月期の広告売上は、前年同期比28%もの落ち込みとなる64億㌦(約5760億円)となった。四半期ベースでは13期連続で売上が減少したことになる。