米高裁、CBS中継映像のわいせつ性否定


米フィラデルフィア連邦高裁はこのほど、米CBSテレビが放送した映像内容がわいせつ描写に当たるとの米連邦通信委員会(FCC)の判断を覆す決定を下した。CBSは2004年2月に開催されたアメリカン・フットボールの王者決定戦「スーパーボウル」を全国向けに生中継したが、その際ハーフタイム・ショーで人気歌手ジャネット・ジャクソンさんの胸が露出するハプニングがあった。FCCはこれをわいせつ映像と見なし、CBSと直営局20局に対し当時、過去最高となる罰金55万㌦(約5,775万円)を課していた。

CBS側はこれを不服として連邦高裁に訴えていたが、今回フィラデルフィア連邦高裁は、FCCの決定は従来のわいせつ性適用の範囲を逸脱しているとして無効と判断した。連邦高裁の判事は、胸の露出時間が1秒にも満たなかったことや、ハーフタイム・ショーが特別に契約されたプロデューサーが制作したもので、CBSが直接関与した証拠が見当たらないことなどを指摘している。

一方、FCCのケビン・マーチン委員長は声明の中で、「連邦高裁の判決におどろいている。全国の家族や保護者は失望感を隠し切れないが、思いは同じだ」と不快感をあらわにしている。同委員長は、「今秋に予定されている最高裁によるわいせつの定義に関する判断がこれまで以上に重要になってきた」とし、当面は最高裁の出方を見守る構えだ。

このスーパーボウルは全米で約9,000万人が視聴したとされ、FCCには記録となる54万件以上の苦情が寄せられたという。同事件には連邦議会も乗り出し、テレビ局一社あたりの罰金額を一挙に32万5千㌦(約3,413万円)に引き上げるなど、大きな社会問題に発展した。