経済不安の中、米映画界が絶好調


今夏米映画業界が絶好調だ。「バットマン」シリーズの最新作「ダークナイト」が7月18日、全米で公開されたが、初日の興行収入が6,640万㌦(約70億円)と一日あたりの過去の記録を更新したほか、封切後3日間の興行収入も1億5,830万㌦(約168億円)と、これまで最高記録だった「スパイダーマン3」の1億5,110万㌦(約160億円)を上回った。また、封切後5日間の興行収入も2億㌦(約212億円)と、史上最高記録を塗り替えた。最終的には米映画史上最高の興行収入記録を保持する「タイタニック」を超えそうな勢いだ。

ダークナイトの配給元ワーナー・ブラザースの担当者は米経済紙ウォールストリート・ジャーナルに同映画の成功について、「米景気減速やガソリン高など、暗いニュースが多い中で、市民の間にバットマンのようなスーパーヒーローがすんなり受け入れられる土壌があった。封切のタイミングとしては抜群の時期となった」と分析している。

「ダークナイト」のほかにも、「ヘルボーイ」の最新作「ヘルボーイ2/ゴールデン・アーミー」やウィル・スミス主演の「ハンコック」など、いずれもスーパーヒーローものが大好評。その他、ブロードウェイのロングラン「マンマミア」の映画版(メリル・ストリープ主演)も封切後3日間の興行収入2,760万㌦(約29億円)を獲得、業界誌「バラエティー」によれば、同週末に封切られた映画トップ12作の興行収入は2億5,000万㌦(約265億円)を超える勢いで、新記録樹立間違いなしの状況だという。

ワーナー・ブラザース関係者は、映画の活況ぶりについて、「家計に不安を抱える市民にとって映画が家族そろって楽しめる最も手軽楽だということが再認識された結果だ。週末に夫婦で食事に出かけるとなれば、高い食事代はもとより、ベビーシッターを雇わなければならないが、映画なら子供連れで行ける」と述べている。