自動車内のインターネット機能に反対論


今年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)では、立体映像が楽しめる3D(3次元)方式の薄型・大画面テレビ、さらにはテレビ番組の生放送が受信できる携帯電話などの新製品が話題になった。そんな中、自動車からインターネット接続が楽しめる機器が披露され物議をかもし出している。


会場では、パソコン同様の機能を備えた液晶モニターがダッシュボードに組み込まれたAudiやフォード車などが展示され、入場者の関心を集めた。メーカー側は、「スマートフォンと同等の機能を車内に求める消費者が急増している。特にビジネスマンの間でニーズが高まっている」(Audiマルチメディア担当者)、「毎年、世界中で7000万台の新車が売れている。車が消費者にとって、最も利用頻度の高い、家庭用電子機器になりつつある」(チップメーカー、Nvidia)などと売り込みに積極的。


ところが、「運転中の携帯電話通話やテキストメッセージなどが交通事故などにつながるとされ、使用禁止の流れになっている中で、こうしたメーカー側の動きは無責任としか言いようがない」(マサチューセッツ工科大学教授、ニコラス・アッシュフォード氏)、「運転の障害になる機器を自動車に搭載しようとする動きには反対の意を唱えていく」(レイ・ラフッド米運輸長官)などと風当たりも強い。


メーカー側は、「“インターネット使用は運転の安全が確保できる時に限定してください”などとする表示が現れるようにしている」(Audi)、「駐車中のみに使用ができるように設定している」(フォード)などと安全性のアピールに懸命。しかし、ABCネットワークは全国向けのニュース番組で、運転中の携帯電話通話が原因で、年間2600人が死亡、57万件の事故が起きているとするハーバード大学の調査結果などを引用し、安全性に警笛を鳴らしている。