視聴者の心を掴んだネットワーク番組


 視聴者離れが取りざたされて久しい米ネットワークテレビだが、今シーズン(5月末終了)は順調に推移していることが明らかになった。米視聴率調査会社ニールセンによれば、4月中旬の段階で、地上波5大ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC、CW)のプライムタイム(午後8-11時)平均世帯視聴者数は、昨シーズン比1%増となる4132万5000人を記録した。広告主が重要視する視聴者層(18~49歳)では昨シーズン比1%の減少となったものの、より若い18~34歳層の平均視聴率は11.2%と昨シーズンと同率に踏みとどまった。視聴者離れ、特に若者層の離反を懸念するネットワークテレビ経営陣にとって朗報となった。


好調さの背景には、スポーツ番組の健闘があるようだ。今年2月に開催された冬季五輪バンクーバ大会が高視聴率を獲得したほか、スーパーボウルが過去最高視聴者数を記録したことで、全体の視聴者数を底上げしている。バンクーバ五輪を独占放送したNBCネットワークの平均世帯視聴者数は昨シーズン7%増となったほか、スーパーボウルを放送したCBSの平均世帯視聴率も同1%増を記録している。


一方、米テレビ界を代表するヒット番組になっているFoxネットワークのオーディション番組「アメリカン・アイドル」が、18-49歳層の平均視聴率8.9%と昨年比5.3%減と陰りをみせている一方で、今年で3年目を迎えるCBSのコメディー番組「ビッグ・バング・セオリー」の視聴率(同層)が34.3%も上昇するなど、スポーツ番組以外の番組も健闘している。


ところで、今シーズン、業界内で人気ぶりが見直されている番組といえばABCネットワークの「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」だろう。エンタテイメント界のスターたちが、プロのダンサーとペアを組み、踊りを競うリアリティー番組。スターがなりふり構わず特訓に臨む姿や、予想外のハプニングなどに視聴者の共感が集まっているようだ。ここ数年天下無敵を誇っている「アメリカン・アイドル」の視聴率を上回る日があったりと、ABCを代表するヒット番組に成長している。