購読数減少で発行廃止の新聞も


不振を続ける米新聞・雑誌業界に追い討ちをかけるようなニュースが続出している。米新聞雑誌部数監査機構(ABC)によれば、今年4~9月期における全米トップ25の日刊紙のうち、前年同期比の発行部数が伸びたのはUSAトゥデーとウォールストリート・ジャーナルのわずか2紙。ただ両紙の増数も0.01%とごくわずかにとどまっている。その他、有力紙は、ニューヨーク・タイムズ紙(平日版)が3.6%減、ロサンゼルス・タイムズ紙は7.2%減、ワシントン・ポスト紙が7.8%減などと軒並み減少した。

ニューヨーク・タイムズ紙では今年中に全従業員の約7.5%にあたる約100人の人員削減を発表したり、紙面統合にも踏み切り、経費削減徹底策を打ち出している。ちなみに、同紙では広告収入の減少や人員削減などのリストラ費用が収益を圧迫し、今年7~9月期の純利益は前年同期比51.4%減の652万㌦(約6億円)へと落ち込んだ。

また、USAトゥデーなどを発行するガネット社では8月、1000人に上る人員削減を発表したが、このほど、さらに地方紙スタッフの約10%を削減する方針を発表した。そして、雑誌業界も例外ではない。世界最大の雑誌出版社として知られるタイム社ではこのほど、全従業員の6%に相当する600人の人員削減を発表した。

こんな中、米保守系有力紙クリスチャン・サイエンス・モニターはこのほど、2009年4月をもって日刊紙の発行を取りやめることを発表した。同紙は創刊100年の老舗新聞で、歴代の大統領がホワイトハウスで購読する新聞の一つとされてきた。有力紙が日刊紙を廃止するのは同紙が始めて。同紙では、来年4月以降、記事はインターネット版で提供するほか、週末はマガジン版を発行する予定。