重要性が色あせるテレビと固定電話

米国でテレビを生活必需品と考える人が急減している。米世論調査会社大手「ピュー・リサーチ・センター」が全国の成人約3,000人を対象に行った調査によれば、テレビを生活の必需品と考える人の数が2006年では全体の64%だったものが、2009年には52%にまで減少、今年は42%とついに過半数を割り込んだことが明らかになった。特に若者になるとその傾向は顕著だ。テレビを生活必需品と考える18~29歳消費者はわずか29%に留まっている。


しかし、同調査は、一世帯当たりのテレビ保有台数が、1975年には1.57台だったものが、09年には2.86台とほぼ倍増している(ニールセン社調べ)ことや、2005年以来米消費者が購入した薄型テレビの台数が1億台以上にも上ることを挙げ、消費者のマインドを読み取ることが容易ではないことも指摘している。同調査の担当者は、「テレビ番組などがインターネット経由で手軽に視聴できることなどから、テレビ受像機を必需品と考える人が少なくなったのではないか。ただ、スポーツや大きな事件が勃発すれば、生活者は皆テレビの前に釘付けになるのが現状だ」と指摘、「テレビを必需品ではなくなったと考えるものの、テレビに代わるものが現れたと捉える人は少ないのではないか」と分析している。

そして、テレビと並んで米生活者が必要性を感じなくなっているのが固定電話。09年は68%の人が必需品と考えていたが、今年は62%と下回っている。18~29歳の若者では46%とさらに低下する。2001年には97%の世帯が固定電話を保有していたが、現在は74%にまで下がっていることも分かった。その一方で、携帯電話を必需品と捉える生活者は全体の47%に達している。ピュー社では、“テレビと固定電話の重要性が急速に色あせている”と結論づけている。