金融危機でデジタル・メディア広告大幅削減


金融危機が米企業による広告費の削減を余儀なくさせているが(先週号既報)、デジタル・メディアへの広告出稿を見合わせる動きが顕著になっている。米経済紙ウォールストリート・ジャーナルによれば、最近、米広告主の間で盛んになっていたオンライン動画配信番組、携帯電話、さらにはビデオ・ゲームやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)といった、いわゆるデジタル・メディアへのCM出稿を金融不安のあおりで、ばっさりと削減する企業が続出しているという。

米自動車メーカー大手クライスラーの販売戦略部門の責任者デボラ・メイヤー氏によれば、ここ数年、クライスラーによるデジタル・メディアに対する広告費は全体の10%を占めるまでに成長していたが、現在は5%にまで縮小してしまった。メイヤー氏はウォールストリート・ジャーナル紙に、「経済状況がいい時なら、新車購買者を求め、ビデオ・ゲームやモバイルなどデジタル・プラットフォームに広告を実験的且つ積極的に出稿したいところだが、今はその時ではない」と述べている。

オンライン調査会社「eMarketer」によれば、バナー広告なども含め、2007年に費やされた従来型のインターネット広告費は211億㌦(2兆1,310億円)。それに比べ「デジタル・メディア」への広告費はまだ微々たるものだという。同社ではデジタル・メディア広告費の内訳(2007年)を、SNSが9億2,000万㌦(約930億円)。モバイル機器(含む携帯電話)8億7,800万㌦(約887億円)。ビデオ・ゲーム5億200万㌦(約507億円)。オンライン・ビデオ3億2,400万㌦(約327億円)などと分析している。