TWとNBCUがアイパッドにコンテンツ提供断念


日本でも5月28日に発売され大きな話題を振るまいた米アップル社の新型マルチメディア端末「iPad(アイバッド)」に冷や水を浴びせるような動きが出た。米巨大メディア・娯楽企業「タイムワーナー」と「NBCユニバーサル」などが、両社がかかえるテレビ番組や映画などのコンテンツをアイパッドが採用している動画を扱う規格・ソフト「HTML5」に変換しないことを通告したためだ。ニューヨークポスト紙が「アップルに平手打ち」と見出しをつけ特種として伝えたが、デジタル・メディアに詳しいシェリー・パーマー氏は同氏のサイトで、「アップルにとって大きな打撃になる」と報じている。


ニューヨークポストによれば、タイムワーナーなどにとって、膨大な映像ライブラリーをアイパッド用にフォーマット変更するのはあまりにも費用がかかり過ぎるほか、パソコン上ではアドビ・システム社が開発した「Flash(フラッシュ)」が事実上基本ソフトになっている、ことなどを判断材料にした模様だだ。パーマー氏は、「アドビ社にとって大勝利となった」と解説している。


大ヒットとなっているアイパッドに市場を占有されれば、コンテンツの価格などもアップル社にコントロールされてしまうことを憂慮したもの。フラッシュを採用するデルやヒューレット・パッカード社などがアイパッドの対抗機を発売を決めていることにも勇気づけられた決定とも言えそうだ。
また、タイムワーナーにとっては、アップル社にコンテンツを提供することは同社が推進しようとしているコンセプト「TV Everywhere」に反することにもなる。TV Everywhereは、タイムワーナー傘下の有料チャンネル「HBO」などの加入者に対しては、オンライン上で配信されている同社の映像コンテンツを無料視聴できるというもの。アップル社の「視聴は同社配信サービスの加入者のみに限定する」方針にはそぐわないものだ。


現在、アイパッドにコンテンツ提供をしているのは、ディズニー傘下のABCネットワーク。ちなみに、アップル社のスティーブ・ジョブ最高経営責任者は、ディズニーの筆頭株主。CBSも限定的ではあるがテレビ番組などを提供している。そのほか、ニューズ・コーポレーション傘下のニュース専門局「Foxニュース・チャンネル」。これに対抗するかたちで、タイムワーナー傘下ではあるが、CNNもアイパッド用にフォーマットを変換した番組のハイライト版などを提供している。