第30回夏季オリンピック、ロンドン大会が12日閉幕した。米国ではロンドン市内の五輪スタジアムで行われた閉会式の模様を、独占放送権を保有するNBCユニバーサル(NBCU)傘下の地上波テレビNBCネットワークがいったん録画し全国向けにプライムタイム枠で放送した。米ニールセンの速報によると、米東部時間午後8時30分から11時過ぎにかけて放送された特別番組の平均視聴者数は前回北京大会の閉会式に比べ12%増となる3100万人を獲得し、有終の美を飾った。
開会式が記録した4065万人には及ばなかったものの、広告主が重要視する若者層(18-49歳)の視聴率は9.1%(シェア23%)と、同夜2位にランクされたCBSネットワークの番組(同1.9%/シェア6%)などをまったく寄せ付けない強さを見せ付けた。
NBCUでは今回、NBCネットワークをはじめ傘下のケーブル局群、さらには“インターネット放送”を駆使し、過去最高となる約5500時間のオリンピック放送をしたが、基幹ネットワークであるNBCネットワークは、米市民に人気の水泳や体操などの競技を録画中継というかたちで、プライムタイムまで温存し放送した。簡易ブログ「ツイッター」などにはNBCの編成方針を批判するサイトなども登場したが、結局、17日間にわたった時差放送は連夜、視聴者数3000万人を超す盛況ぶりだった。
米世論調査会社「ギャラップ」によれば、「五輪人気種目は生中継と録画中継双方で放送して欲しい」と答えた人が59%にも上り、NBCによる編成方式を大半の人が支持していたことが浮き彫りになっている。NBCUでは今回すべての競技をリアルタイムでインターネット放送し、配信時間は3500時間にも上った。ちなみに、「録画中継のみで放送すべきだ」と答えた人は12%だったが、「すべての競技を生中継のみで伝えるべきだ」と答えた人はわずか17%に留まっている。
NBCUはもとよりメディア市場の予想を超える高視聴率に広告収入も大きく伸びる勢いで、当初2億㌦規模の赤字を覚悟していた五輪放送が、最終的には黒字に転換する可能性も出てきた。NBCUは国際五輪委員会(IOC)に対し、今大会の米国内独占放送権として11億8000万㌦を支払ったほか、制作費用として約1億㌦を計上していた模様だ。
五輪放送の活況ぶりに広告主も五輪熱に沸いている模様で、2014年にロシアで開催される冬季五輪ソチ大会(NBCU独占)のCM予約販売額がすでに2億㌦に達したという情報も飛び交っている。