ニューズ社、純利益が倍増

メディア王、ルパート・マードック氏(写真・左)率いるメディア大手ニューズ・コーポレーションがこのほど発表した20121012月期決算は、引き続き堅調なケーブル局群と豪メディア企業の買収に伴う一時的な利益発生が寄与し、純利益は前年同期比約2.3倍となる238000万㌦を記録した。売上高も同5%増、943000万㌦と、増収増益となった。

 

グループ全体に貢献したのが若者向けケーブル局「FX」やニュース専門局「Foxニュース・チャンネル」、さらには様々な地域向けスポーツ局が躍進した放送部門。地上波テレビFoxネットワークも含め、同部門が稼ぎ出す利益は全体の6割を超えるほどの存在感を示している。ケーブル局群を見ると、広告売上が8%増となったほか、視聴率好調を背景にペイテレビ(CATV、衛星放送他)に課す配信料収入が前年同期比13%増加した。スポーツ番組人気を背景に地域向けのスポーツ局が得に貢献した模様だ。

 

ケーブル局群の売上高は前年同期比18%増となる26億㌦。営業利益も同7%増となる94500万㌦だった。

地上波テレビ群もネットワークテレビに加えローカル局が堅調で、売上高は前年同期比ほぼ横ばいの15億㌦ながらも営業利益は同19%増となる22400万㌦となった。特に大統領選挙広告で潤ったローカル局が大きく寄与した。低調だったForネットワークについては、大リーグワールドシリーズの独占放送がイレギュラーなプライムタイム編成を導き、視聴率に悪影響を与えた。

 

映画部門(20世紀フォックス)は、同期に封切られた『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の世界興行収入が5億㌦超、『Taken 2 96時間/リベンジ)』が同37500万㌦など大健闘したが、前年同期に販売された『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』や『X-Men:ファースト・ジェネレーション』のDVD販売などには及ばず、同部門の売上高は前年同期比横ばいとなる21億㌦。営業利益は2.5%減少38300万㌦だった。

 

ウォールストリート・ジャーナル紙などを発行する出版部門は、2月に創刊した英大衆紙「サン」の日曜版がプラス要因となり、営業利益は7.3%増となる23400万㌦だった。売上高はほぼ横ばいの21億㌦。

 

なお、同社をケーブル局、地上波テレビ、映画部門からなる「フォックス・グループ」社と出版部門を中心とした「ニューズ・コーポレーション」の2社分割計画は予定通り9月末までに完了する見通し。

<テレビ朝日アメリカ 北清>