米メディア・娯楽企業大手NBCユニバーサル(NBCU)の経営権を握るコムキャスト(米ケーブルテレビ最大手)の2012年10-12月期決算は、本体のケーブルテレビ(CATV)事業のうちブロードバンド・サービスが好調だったことと、NBCUが大きく寄与し純利益は前年同期比18%増となる15億2000万㌦、売上高は同5.9%増159億㌦と増収増益を記録した。
CATV事業を見ると、ブロードバンド・サービスへの新規加入数が34万1000軒と四半期ベースとしては5年ぶりの好記録となった。同サービス加入者総数は同期1940万軒となり全米最大のブロードバンド・プロバイダーの地位を不動のものとしている。主要ビジネスである映像(テレビ番組など)配信サービスは、解約数が同期7000軒となったものの、減少数は5年間で最低だった。電話会社が展開する映像配信サービス(IPテレビ)に押され気味のCATV業界にあってひときわ目立つ健闘ぶりと評されている。同時点の加入者総数は2200万軒。CATV事業全体の売上高は前年同期比7%増となる101億㌦に達した。
一方、放送・娯楽部門であるNBCUも好調だった。ここ数年不振続きだった地上波テレビNBCネットワークはプライムタイム番組の視聴率が好調だったことと、大統領選挙広告などの臨時収入が貢献し、売上高は前年同期比7.9%増となる20億㌦。また、通常は地上波テレビを上回る好調ぶりを見せるケーブル局部門は、主に米アイスホッケー・リーグの選手のストライキで中継番組がキャンセルされるなど打撃を受けたことから、売上高はほぼ横ばいの22億㌦に留まった。
映画部門(ユニバーサル映画)は、同期に封切られた『レ・ミゼラブル』や『ピッチ・パーフェクト』などが人気を博し、同部門の売上高は同9%となる13億8100万㌦。テーマパーク部門(ユニバーサル・スタジオ)も同期、入場者数が増え、売上高は4.5%増5億2000万㌦だった。
なお、決算報告と同時に、コムキャストはNBCUを完全子会社化することを発表した。コムキャストは現在、NBCUの株式を51%保有。残りの49%を保有するGE(ゼネラル・エレクトリック)から167億㌦で取得することで合意した。コムキャストは11年1月にNBCU株を取得、完全子会社化は早くも15年まではないとされていただけに市場を驚かせるスピード買収となった。
コムキャストのブライアン・ロバーツ会長は、「NBCUの将来性に楽観的な見通しが立ったため」と早期買収決定の経緯を説明した。