米国で“最も人気ある地上波テレビ放送”と自称する「CBSネットワーク」や全米最大規模のラジオ放送網「CBSラジオ」、さらには屋外広告「CBS Outdoor」などを傘下に置く米メディア企業CBSコーポレーションの2012年10-12月期決算が発表された。CBSネットワークの広告収入が好調だったことなどから純利益は前年同期比6.2%増、四半期ベースとしては過去最高となる3億9300万㌦となった。売上高は同2%増の37億㌦だった。
グループ全体に大きく寄与した広告収入は、主にCBSネットワークがもたらした。同期、プライムタイム番組の視聴率は芳しくなかったものの、大統領選挙関連のCM出稿が好調だったため、広告収入全体は前年同期比3%増となった。広告収入とともに好調だったのが、傘下ケーブル局がペイテレビ事業者(CATV、衛星放送、電話会社)から徴収した配信料。同売上高は前年同期を9%上回る5億500万㌦となった。
地上波テレビ放送とテレビ番組制作会社などを含むエンターテイメント部門全体の売上高は、前年同期比微減となる19億9000万㌦。純利益は19.1%増2億8000万㌦だった。タイムワーナーと共同運営するミニ・ネットワーク「CW」の番組再販が好調だったことも大きな要因となった。
ケーブル局部門をみると、有料チャンネルである「ショータイム」がエミー賞受賞番組『ホームランド』などのおかげで加入者数が増加したほか、スポーツ専門局「CBSスポーツ・ネットワーク」が貢献し、同部門の売上高は前年同期比11%となる4億3800万㌦、純利益は4.1%増1億7600万㌦となった。
また、29 の直営局とラジオ局を含むローカル・ブロードキャスティング部門も選挙CMのおかげで、売上高は同9%増7億8700万㌦を計上した。
全部門の中で唯一不振だったのが出版部門「サイモン&シャスター」。電子書籍の売上は伸びたものの、店頭売り書籍販売数が減少し、同部門の売上高は6.1%減少となる2億1500万㌦となった。米メディア企業の間では消費者の“紙離れ”が顕著な動きとなっており軒並み出版部門が不振となっている。
課題である広告収入への依存度軽減化だが、CBSの最高経営責任者(CEO)レスリー・ムンベス氏は、インターネット上の番組配信サービス「ネットフリック」や「アマゾン・プライム」などへの番組販売が好調に推移し始めたうえ、ペイテレビ各社に課す地上局などの配信料収入増大に楽観的で、放送外収入拡大に自信を示している。