米プロレスが専門局立ち上げか

米プロレス団体大手ワールド・レスリング・エンターテイメント(WWE)はこのほど24時間プロレス専門局の立ち上げ構想を明らにした。同社の発表分によれば、プレミア・チャンネルと呼ばれる有料局の開設を検討している模様だ。

 

WWEは現在、米人気ケーブル局「USAネットワーク」やSyFy(サイファイ)チャンネル、さらには若者向け地上波テレビ放送CWネットワークなどを通し熱狂的かつ忠実なファンを引き付けている。「SmackDown(スマックダウン)」や「Raw(ロウ)」などの人気番組があるが、広告主がターゲットにしている若者視聴者層(1834歳)で圧倒的な人気、常にケーブル局人気番組の上位にランクされている。米有力調査会社SNLケーガンによれば、米テレビ視聴世帯の約半分に当たる5700万軒でWWE番組へのアクセスがある。

 

WWE人気は米国内に留まらない。様々な番組が30ヶ国語に翻訳され、放送されている国は145ヶ国にも及ぶという。ビデオ・ゲームやキャラクター商品なども配信・販売されており、同社では2012年に過去最高となる3140万㌦の純利益を記録したばかりだ。


WWEには他ケーブル局などから番組供給要求が後を絶えず、自前のネットワーク設立の機が熟したと判断した。SNLケーガンの調べでは、「WWE関連の番組をもっと見たい」と考える視聴者が全体の51%に上るという。番組へのラブコールはケーブル局のみならず、インターネット上の番組配信サービスからも引き合いが絶えない模様だ。ちまみに、人気動画サービスHulu Plus(フールー・プラス)とはすでに配信契約を結んでいるほか、ユーチューブのサイトも月間ユニークビュー数が100万件(128)に迫る勢いだ。

 

プレミア・チャンネルの加入料は1軒当たり、12.99㌦から14.99㌦を想定している模様。独自局が成功すればWWE12500万㌦から25000万㌦の増分収益が転がり込んでくる勘定だ。純利益も2015年までに12年に記録した額の23倍になると見込んでいる。

 

WWEの最高経営責任者(CEO)ビンセント・マクマホン氏は声明のなかで、「独自局を立ち上げれば、米国市場はもとより海外市場における番組配信やインターネット上のコンテンツ、さらにはモバイル・ゲーム(携帯電話向けゲーム他)契約を結ぶ際により有利な立場に立つことができ、大幅な増収が見込まれる」と強調している。


同社では新局を黒字経営に導くためには最低100万軒の加入者獲得が必須条件と試算している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>