ビデオ広告視聴者は米人口の5割強

米国で、インターネット配信されるテレビ番組などに挿入されるテレビCM型広告(以下、ビデオ広告)への関心が一段と高まっている。米調査会社コムスコアがこのほど発表したところによると、今年(13年)2月、米消費者によるビデオ広告視聴時間は38億分と40億分に迫る勢いを見せた。同月に見られたビデオ広告数は99億本。中でも人気動画サイトYouTube(ユーチューブ)が様々なコンテンツに挿入したビデオ広告数は22億本とこれまでの最高記録となった。

ユーチューブの次に多くビデオ広告を提供したのがビデオ広告ネットワークを展開するBrightRoll(ブライトロール)社で、同社が同月に提供したビデオ広告数は16億本に達した。これに日本でもサービスを始めている動画サイトHulu(フールー)が14億本。ビデオ広告代理店Adap.tv社の14億本。これに同じくビデオ広告代理店であるLiveRail(ライブレール)社の10億本などと続いた。中でも最も長い視聴時間を獲得したのが、ブライトロール社で、同社が提供したビデオ広告を見た時間は同月合計85900万分となった。

 

コムスコアによれば、同月ビデオ広告に接触した米消費者は総人口の50%以上になる17800万人。一人当たりのビデオ広告接触回数の最も多かったサイトはフールーで平均61.3回。これに米メディア企業大手CBSコーポレーションのインターネット・サイトの23.1回、ネット検索大手グーグルの23.1回などが続いた。


こんなビデオ広告人気に、「広告出稿先の将来はインターネット動画サイトにある」との声が上がっているが、「人気とは裏腹に供給過多で単価が下がり、売上高増大に結びつかない」との声も上がっている。ブライトロールによれば、12年のビデオ広告料金は11年に比べ1015%の値下がりを示している。

 

ところで、米調査会社イーマーケッターの予測では、今年のビデオ広告売上高は、インターネット広告全体(425億㌦)の1割弱に相当する41億㌦に達すると見ているが、テレビCM売上高664億㌦には遠く及ばないのが現状だ。

 

ちなみに、コムスコアによれば、各動画(番組・映画)サイトの中で最もユニークビューワー数が多かったのがユーチューブを含むグーグル・サイトの15070万人。これにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)大手フェイスブックの6120万人。動画サイトVevo(ビボ)の4950万人。ニュース画像サイトNDNNews Distribution Network)の4630万人。ヤフー4360万人などと続いた。

<テレビ朝日アメリカ 北清>