WBが独自のネット配信サービス開始

米メディア企業大手タイム・ワーナー傘下のテレビ番組・映画製作部門「ワーナー・ブラザース(WB)」が往年のテレビ番組や映画をブロードバンド通信を使ってオンデマンド配信する新サービスを始めた。月額加入料999㌣。日本でも大ヒットした『スーパーマン』(原題『Adventures of Superman』や『サンセット77』(原題『77 Sunset Strip』)などのテレビ番組、そして、『日本人の勲章』(原題『Bad Day at Black Rock』などの映画が無制限に視聴できる。1920年代に封切られた無声映画(サイレント映画)なども含まれている。

 

新サービスは、「WB Archive Instant(アーカイブ・インスタント)」と名付けられ、米国製ストリーミング・ディバイス「Roku(ロク)」をテレビ受像機に接続してコンテンツを呼び込む。HD(高精細度)画像のタイトルもあるという。パソコンでの利用も可能。


WBといえば、ハリウッド最大のコンテンツ・プロバイダー、すでにテレビ番組・映画のネット配信で大人気のNetflix(ネットフリックス)や通信販売大手アマゾンの動画レンタル・サイトなどに作品を限定的に提供しているが、新サービスではこれらのサイトでは見られないコンテンツを提供する。

 

自前のサービスを立ち上げ仲介業者をはぶき、より多くの利益を追求する狙いがあると思われる。ネットフリックスや日本でもサービスを展開しているHulu(フールー)Plusなどにとって新たなライバルの出現となる可能性もありそうだ。


月額加入料はネットフリックス、フール・プラス(各79㌣)などに比べ割高だが、WBデジタル・ディストリビューション社のトーマス・グエキー社長は、「WBアーカイブ・インスタントが提供するものは、当社のライブラリーが保有する高品質で豊富なコンテンツばかり。これまで消費者には提供されていないものが多く、クラシック映画やテレビ番組ファンにとって絶好のサービスとなるだろう」と自信のほどを見せている。

 

しかし、新サービスに対しては、「往年の作品に興味を示す消費者はそれほど多くないのでは」「新作が見られるネットフリックスなどに比べ、格落ちサービスと受け止められるだろう」「ネット上のオンデマンド・サービスはすでに過当競争気味」などと、冷ややかな声も上がっている。

 

現に、新サービスが発表されたその日、親会社タイムワーナーの株価は前日とほとんど変化せず、市場の期待度もそれほど高くないことが露呈した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>