ニールセン、ネット番組視聴率測定へ

米国でテレビ視聴率測定を独占するニールセン社がインターネット上に配信されるテレビ番組の視聴率測定(Nielsen Digital Program Ratings:ニールセン・デジタル・プログラム・レーティング)に乗り出した。ネット上で公開されているテレビ番組が特に広告主がターゲットにしている若者視聴者の間で人気急増中。ネット配信番組の視聴率も広告収入の対象にすべきだと考えるテレビネットワークなどからニールセンに対し、同視聴率を測定する新サービス立ち上げを促す圧力がかかっていた。

手始めにネットワーク数社がホームページに公開しているプライムタイム番組視聴のデータなどをニールセンに提供、ニールセンが分析を始める。ニールセンではこれらのデータを蓄積しながら、13年中には本格的な測定サービスを立ち上げたい考えだ。今回は地上波テレビネットワーク3社(NBCFoxABC)に加え、スペイン語放送最大手ユニビジョン、さらにはケーブル局2社(ディスカバリー・チャンネル、A&E)が参加、5月から7月までの3カ月に限定された実験的プロジェクトとして始まった。

ニールセンでは本格的なサービス開始後は、各ネットワーク・ホームページ以外のインターネット配信サービス、Hulu(フールー)やYouTube(ユーチューブ)、さらにはAOLなどを利用したテレビ番組視聴率の包括的な測定を標準化させたい考えだ。


ニールセンによれば、当面測定の対象になるのは、パソコンを使ったオンライン・ビデオ視聴に限られる模様。将来的にはスマートフォンやタブレット型情報端末などを使ったオンライン視聴状況も測定するとしている。NBCユニバーサルの調査部門のアラン・ワーツェル社長は、「我々ネットワークが望んでいるのはテレビ、コンピュータ、スマホ、タブレットなどすべてのプラットフォームによる番組視聴率の一元化。ニールセン・デジタル・プログラム・レーティングはその大事な一歩となるだろう」と述べ、期待を寄せている。

 

ニールセンはこのほど、インターネット接続機能内蔵型のテレビ「スマートテレビ」などを使ってオンライン上で配信されているテレビ番組を視聴している世帯も視聴率測定の対象に加える“新しいテレビ世帯の定義”を発表したばかり。ペイテレビ(CATV、衛星放送他)に加入せず、インターネットを利用しながらテレビ番組を視聴するいわゆる“デジタル視聴者”の取り組みに積極的だ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>