米メディア企業4社(コムキャスト、タイムワーナー、バイアコム、CBSコーポレーション)(5月9日既報)に続き、ウォルト・ディズニーとニューズ・コーポレーションがこのほど2013年1-3月期の決算を発表した。ディズニーは、看板ビジネスであるテーマパーク部門や相変わらず人気のスポーツ専門局などが貢献し、同社の純利益は前年同期比32%増となる15億1000万㌦と大幅増益を記録した。売上高は同10%増105億5000万㌦だった。ニューズ・コーポレーションも、主にケーブル局部門や映画部門が好調で、売上高は同14%増95億4000万㌦。純利益は205%増となる28億28億5000万㌦。両社の業績は先の4社を圧倒したかたちだ。
ディズニーを見ると、カリフォルニア州のディズニー・ランドに新設した「カーズ・ランド」やフロリダのディズニー・ワールドに増設した「ファンタジーランド」などが人気を呼び来場者が増え、好調だった新クルーズ船も含むパーク&リゾート部門の売上高は14%増33億㌦、営業利益は同73%増となる3億8300万㌦となった。また、スポーツ専門局ESPNが4%増となった広告収入に加え、CATVや衛星放送などペイテレビ事業者から徴収する配信料の値上げを勝ち取ったことなどから、ケーブル局部門の売上高は9%増となる34億6000万㌦、営業利益も15%増17億2000万㌦を記録した。
グループ内で不振ぶりが目立ったのが地上波テレビ放送部門。ABCネットワークの視聴率が芳しくなく、番組制作部門やローカル局も含む放送・制作部門の売上高は2%減15億㌦。営業利益は40%減少の1億3800万㌦だった。決算発表に当たって同社CEO(最高経営責任者)ロバート・アイガー氏は、ABCに触れ、「ヒット番組の制作は当然だが、グループ内の制作会社による番組開発が重要だ」と課題を指摘した。
一方、Foxネットワークやウォールストリート・ジャーナル紙などを傘下に置くニューズ・コーポレーションは、相変わらず好調のニュース専門局Foxニュース・チャンネルや若者向けチャンネルFXが人気で、ケーブル局部門の売上高が全体の55%を占めるほど。 アカデミー賞受賞映画『ライフ・オブ・パイ』のヒットなども手伝って、地上波テレビ部門や出版部門の不振ぶりを補った。地上波Foxネットワークは米テレビ界を代表する人気番組だったオーディション番組『アメリカン・アイドル』がひところの勢いを失い広告収入が急減していることが痛手となっている。