9月から始まる米テレビ界の新シーズン(2013-14年シーズン)を控え、シーズン中プライムタイム(午後8-11時)で放送される番組編成の披露と、CMの予約販売が行われる重要イベント「アップフロント」が始まった。地上波テレビ4大ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)によるアップフロントは5月13日のNBCネットワークとFoxネットワークを皮切りに順次開催され、新番組などを広告主にアピールした。
4社が発表した新シーズンの傾向をみると、年々顕著になっている地上波テレビ放送からの視聴者離れ現象を踏まえ、「ケーブル局に倣え」とばかりに、従来1シーズン22エピーソだったものを10-13エピソードに短縮するネットワークが目立っていること。シリーズをシーズン前半と後半2回に分けていたこれまでのやり方も見直している。また、長寿番組に変わる新番組発掘に本格的に取り組む姿勢が見立ち、登場する新番組は過去最大規模となる47本にも上った。
各社別にみると、最も多くの新番組を発表したのがNBC(17本)。シーズン前半に6本、人気ナンバーワンのNFL(プロフットボール・リーグ)中継番組が終了するシーズン後半に11本を温存する。目玉番組は、映画『羊たちの沈黙』のリメイクとなる『The Blacklist』(月曜22時)。
14本の新番組を編成するのがABC。看板番組『Dancing with the Stars』の視聴率減退を踏まえ、週2回放送してきた同番組を思い切って1回に削減。昨年大ヒットした映画『アベンジャーズ』のテレビ版『Marvel’s Agents of S.H.I.E.L.D』(火曜20時)などを配し、若者視聴者層視聴率最下位からの脱却を図る。
米テレビ界を代表するヒット番組だった『アメリカン・アイドル』(オーディション番組)の衰退ぶりなどがたたって視聴率不振に陥っているFoxが発表した新番組は11本。日本にもファンの多いかつての大ヒット番組『24』(写真・左)を12エピソードに短縮して再登場させる。
視聴率王CBSが発表した新番組はわずか5本と余裕の編成。CBSは1シリーズ・エピソード22本制を継続する。
なお、番組披露のあとに始まるCM売買交渉ではプライムタイム番組にかかるCMの75%から80%ほどが取引されるが、交渉期間は1-3カ月かかるのが通常のパターン。売上高は時々の経済状況や番組内容に左右される。今回は広告費のケーブル局への鞍替えが加速するとの見方もあり、売上高は昨シーズン程度(92億㌦)に留まるとの見方が大方だ。