ソチ五輪のCM販売が活況

来年、ロシアのソチで開催が予定されている第22回オリンピック冬季競技大会、米国では米メディア企業大手コムキャスト傘下のNBCユニバーサル(NBCU)が独占放送することになっている。そのNBCUがこのほど発表したところによると、5月中旬の時点ですでに7580%CM枠が売れ切れた模様だ。NBCスポーツの営業担当専務、セス・ウィンター氏は会見で、「これまでの五輪セールに4ヵ月も先行するスピードだ」と述べ、好調ぶりを説明した。

 

好調ぶりに若干影を落としたのが五輪スポンサーの常連だった2大広告主の不参加。バドワイザーなどの銘柄で知られるビールメーカ大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブとホテル大手ヒルトン・ワールドワイドが撤退を決めたことを受け、ウィンター氏は、「がっかりしたとともにショックを受けた」と失望感を隠しきれない様子。それでも広告総売上高は8億㌦を超え、冬季五輪史上最高になるとの見方を示し胸を張った。


 

広告売れ行き好調の背景についてウィンター氏は、「現在米メディア市場で圧倒的な強さを誇っているスポーツ物件に対する(広告)需要が、引き続き堅調であることを反映しているものだ」と語っている。実際、米テレビ界はドラマやコメディー番組の視聴率が低下傾向にある中で、ビッグイベントを扱ったスポーツ番組の視聴率はむしろ上昇傾向にある。

 

NBCの五輪放送を見ても、時差の関係で米視聴者に人気のある重要種目は録画中継したにもかかわらず、昨年夏のロンドン五輪は合計21700万人の視聴者を魅了し米テレビ市場最高記録を達成した。2010年に米国のお隣カナダで開催された冬季五輪、バンクーバー大会も19000万人の視聴者数を獲得している。

 

しかし、ソチ五輪、高視聴率を背景にした好調な広告売上が予想されるとはいえ、NBCUは喜んでばかりいられないようだ。開催地が大都市から離れているため、制作コストが嵩むことが避けられない状況だからだ。通常NBCUでは五輪の制作費を1億㌦ほどに見積もっているが、ソチ五輪はこれを優に超えることになるという。国際オリンピック委員会(IOC)に支払う米国内独占放送権77500万㌦と合わせれば8億㌦超を予想している広告売上を帳消しにしてしまう勘定だ。

 

ところで、NBCUではソチ五輪も全種目をインターネット配信する模様だ。ロンドン大会では08年に開催された北京大会時の2倍となる画像閲覧数15930万回を記録した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>