オンラインビデオ売上高、40億㌦を突破

インターネットを介して配信・販売されるビデオ・コンテンツ(テレビ番組と映画)の2012年売上高が40億㌦を超えた。前年比27.2%増となる躍進ぶりだ。米有力調査会社SNLケーガンによれば、今年の売上高はさらに27.1%増となる512000万㌦に達するほか、今後10年間にわたり上昇カーブを描き続き、数年後にはDVD売上を超えるほどに拡大する。

デジタル配信・販売の中で圧倒的に人気なのがNetflix(ネットフリックス)に代表される会員制ストリーミング配信サービス。12年の売上高は全体の64.4%を占める262000万㌦に達した。そのうち3000万人に迫る会員を抱えるネットフリックスの売上高は218000万㌦を占めている。日本でもサービスを展開しているHulu(フールー)など他会員制サービスを抑え圧倒的な強さを発揮している。

会員制ストリーミング・サービスに続くのがアップル社のアイチューンズ・ストアなどに代表されるネット販売サービス。同年売上高は81530万㌦だった。内訳は映画コンテンツが45950万㌦。テレビ番組も35590万㌦と映画に肉薄している。

 

これに続いたのが、オンライン・レンタル・サービス。同セグメントの売上高は63000万㌦となったが、売上はもっぱら映画レンタルで占められていることが分かった。SNLケーガンでは、テレビ事業者が利幅の大きい販売を重視し、レンタル・サービスを避けていることが要因だとしている。また、「テレビ番組はシリーズ全体を一括購入し一気にまとめ視聴したい」と考える視聴者の嗜好が反映されている模様だ。

 

ちなみに、オンライン配信・販売にCATV事業者などが加入者向けに提供する有料オンデマンド・サービスを加えたホーム・ビデオ業界全体の13年売上高は1973000万㌦と見込まれている。

 

そのうちオンラインビデオのシェアは25.9%。しかし22年には45.3%に拡大、売上高は218億㌦規模に成長するという。

 

米国ではこのような傾向に触発され、今年3月にDVDレンタル・販売会社「Redbox(レッドボックス)」と通信大手ベライゾン社が提携しスタートさせたネットフリック型のストリーミング・サービス『Rebox Instant』に続き、米メディア企業大手タイム・ワーナー傘下のテレビ番組・映画製作部門「ワーナー・ブラザース(WB)」が往年のテレビ番組や映画をブロードバンド通信を使ってオンデマンド配信する新サービスを始めるなど、デジタル消費者を意識した新規ビジネスが次々に現れている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>