綱渡り中継番組が高視聴率獲得

米ドキュメンタリー専門局「ディスカバリー・チャンネル」が623日、米アリゾナ州北部にあるグランドキャニオンで決行された綱渡りの模様を特別番組で生中継し高視聴率を記録した。綱渡りが始まった21:38時から完了した22:01時(米東部時間)には約1300万人が固唾をのんでブラウン管にくぎ付けになった。ディスカバリー広報によれば、ライブ・イベント放送では最高の視聴率となった。同イベントの模様はインターネット上でも同時配信され30万人以上のオンライン視聴者を魅了した模様。DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)などを使って放送後に見た人も相当数いることが見込まれている。

裏番組にはケーブル局AMCの超人気ドラマ番組『Mad Men(マッド・メン)』のシリーズ最終回が放送されたが、こちらは視聴者数270万人と、遠く及ばなかった。ビッグ・イベントをテレビが中継すれば相当数の視聴者を獲得することができることが改めて実証された形だ。また、イベント直前にかけ、ツイッターやフェイスブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上における“会話”や“つぶやき”が盛んに行われ、視聴率上昇に大きく寄与したことも報告されている。

グランドキャニオン内にあるリトルコロラドリバー渓谷に張った高さ約450メートル、直径わずか5センチメートルの金属製ケーブルを渡ったのは著名な米国人軽業師、ニック・ワレンダ氏(34)。途中、強風にあおがれワレンダ氏がロープ上でかがみこむシーンなどがあり、スリル満点。結局約400メートルのロープを約23分で渡り切った。

本人の強い希望で命綱や安全ネットなどは使わなかった。そのため、ディスカバリーでは、ワレンダ氏が万が一失敗し落下した際に衝撃映像がお茶の間に飛び込むことを避けるために、放送は10秒間遅らせて臨んだ。ワレンダ家は有名な曲芸一家で、祖父や従妹が綱渡りに失敗し死亡している。

ワレンダ氏は昨年もナイアガラの滝の綱渡りを成功させたが、この時は独占放送権を獲得した地上波テレビABCネットワークの強い要望に屈ししたかたちで命綱をつけて渡った。ちなみに、その時の視聴者数も1310万人に達した。今回は命綱なしの条件をのんだディスカバリーをワレンダ氏が選択したという。ディスカバリー広報は、「命綱を付けないことはニック(ワレンダ氏)自信の選択。我々は彼の意思を尊重した」と説明している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>