2013年1-3月期の米広告支出が昨年同期比横ばいだったことが判明した。米調査会社キャンター・メディアがこのほど発表したもので、同期の広告費は前年同期比1%未満の減少となる302億㌦だった。米経済回復への不透明感や地上波テレビネットワークの視聴率不振などが影響し、“新年のさえないスタートとなった”(キャンター)。ちなみに、同社の広告費にはインターネットのディスプレー広告は含まれていない。
広告費出稿先の中で大きな比重を占めるテレビネットワークは、4大ネットワーク(ABC、CBS、Fox、NBC)のプライムタイム番組がCBSを除きそろって不調。特に米テレビ界を代表する人気オーディション番組『アメリカン・アイドル』(Foxネットワーク)の視聴率が20%も減少したことなどが響いた。広告主が重要視する18-49歳層の視聴率が前年同期比17%減と最悪の結果になったことで、4大ネットワークの広告費は同5%減となる57億7000万㌦となった。
また、同期の目玉イベントで全米を沸かした全米大学体育協会(NCAA)主催のバスケットボール競技決勝ラウンド『マーチ・マッドネス(3月の熱狂)』が4月にずれ込んだことも同期のネットワークテレビ広告全体にも影響を与えた。同番組の30秒CMには70万㌦の値が付き、総額7500万㌦の売上がCBSネットワークに転がり込むはずだったが4-6月期に繰り越しされることになったためだ。
地上波テレビネットワークの中で、明るい結果が出たのが全国向けのスペイン語放送。最大手ユニビジョンとコムキャスト傘下のテレムンドの視聴率が好調で、両ネットワークに出稿された広告費は前年同期比13.5%もの増加を示し10億3000万㌦を記録した。
一方、活気に溢れたのがケーブル局。若者の心を掴んでいるニューズ・コーポレーション傘下のFXでは、18-49歳層視聴率が前年同期比16%も上がったほか、米テレビ界全体の話題作になっているホラー番組『The Walking Dead』を擁するAMCの同層視聴率は前年に比べ35%も上昇したことなどが寄与している。キャンター・メディアによれば、ケーブル局全体の広告費は5%増の62億2000万㌦に達した。テレビ全体の広告費は全体の60%を占めている。
このほか、活字媒体は相変わらず不調。新聞広告は同4%減、雑誌は1%減となった。
広告主を見ると、自動車業界(33億5000万㌦)、小売業(31億7000万㌦)、通信業界(20億7000万㌦)などからの積極的な出稿が目立った。